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浦和地方裁判所 昭和52年(わ)1683号 判決

一、本店所在地

埼玉県蕨市塚越五丁目七番一二号

商号

有限会社千葉工業所 千葉義重

代表者

代表取締役 千葉義重

二、本籍

埼玉県蕨市塚越六丁目一三一番地の一二

住居

同県同市塚越六丁目一二番九号

職業

会社役員

千葉義重

昭和一四年四月二〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官竹川武出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社千葉工業所を罰金四五〇万円に、被告人千葉義重を懲役六月に処する。

被告人千葉義重に対しこの裁判の確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社千葉工業所は、埼玉県蕨市塚越六丁目一二番九号に本店を置き左官工事請負業を営むもの、被告人千葉義重は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人千葉義重は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、工事収入の一部を除外する行為により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四八年九月一日から同四九年八月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額は一五、八六七、六一〇円で、これに対する法人税額は五、六二六、八〇〇円であるのにかかわらず、同年一〇月三一日、埼玉県川口市西川口四丁目六番一八号西川口税務署において、同署長に対し、欠損金額が七、六七六、〇〇五円であり、法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して同日の確定申告期限を徒過し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額五、六二六、八〇〇円を免れ、

第二  昭和四九年九月一日から同五〇年八月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額は二〇、五五七、四六四円で、これに対する法人税額は七、三八二、八〇〇円であるのにかかわらず、同年一〇月三一日、前記西川口税務署において、同署長に対し、欠損金額が二八八、七〇八円であり、法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して同日の確定申告期限を徒過し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額七、三八二、八〇〇円を免れ、

第三  昭和五〇年九月一日から同五一年八月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額は二一、九六一、三九五円、これに対する法人税額は七、九四四、四〇〇円であるのにかかわらず、同年一〇月三〇日、前記西川口税務署において、同署長に対し、所得金額は零であり、法人税額も零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して確定申告期限である同年一一月一日を徒過し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額七、九四四、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人千葉義重の当公判廷における供述

一、被告人千葉義重の検察官に対する供述調書

一、被告人千葉義重に対する大蔵事務官の質問てん末書一二通

一、被告人千葉義重作成の答申書二通

一、登記官作成の登記簿謄本

一、西川口税務署長作成の証明書四通

一、検察事務官作成の捜査報告書

一、矢島義幸の検察官に対する供述調書

一、小野寺一に対する大蔵事務官の質問てん末書

一、大蔵事務官矢島義幸作成の簿外売上調査書、預金入金出金調査書(二通)及び簿外現金売上調査書

一、大蔵事務官渡辺幸雄外四名作成の調査書

一、大蔵事務官坂本英雄外二名作成の調査書、答申書

一、大蔵事務官外谷水城作成の調査書二通

一、倉林惣吉作成の答申書四通及び証明書

一、石井文夫、福田安倫(二通)、小沢勇(三通)、館幹三各作成の供述書

一、柴田国広、飯島文雄各作成の答申書

判示第一、第二の事実につき

一、高岸利次、五嶋仙太郎、菅谷正義、須賀進、佐藤松雄各作成の答申書

一、中沢享作成の報告書

判示第一の事実につき

一、矢野純造、伊藤勇次、青西晃、高見沢民夫、小野塚俊正、吉川四郎次、森栄一各作成の答申書

判示第二、第三の事実につき

一、早川和幸、高岸利次、大陽産業、深沢義孝、吉野豊一各作成の答申書

判示第二の事実につき

一、柴田七十二、原田文三、道川裕各作成の答申書

判示第三の事実につき

一、関根三雄、浅川豊彦各作成の答申書

(法令の適用)

一、判示各所為につき

被告人千葉義重に対し法人税法一五九条、被告人有限会社千葉工業所に対し同法一六四条、一五九条

一、刑種の選択

被告人千葉義重について懲役刑を選択

一、併合罪の加重

被告人千葉義重について刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)、被告人有限会社千葉工業所について同法四五条前段、四八条二項

一、刑の執行猶予

刑法二五条一項

一、訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 北野俊光)

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